久々にアパートを借りて驚いた話

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当社は売買専門の不動産業者なので、賃貸管理はほとんど行っていません。自分でアパートを借りたことも、久しくありませんでした。

しかし最近自宅を売却することになり、まずは自宅を「空き家」にすることにしました。ほとんどの人は「住み替えの時は住みながら売って、買い手が決まったら引っ越して……」といった手順で計画されるかと思いますが、空き家にしたほうがいいですよ。売りやすさが断然変わります。

前置きが長くなりましたが、そんなわけでアパートを借りに某不動産屋へ!

お目当ての部屋を案内してもらったときに、敷金礼金ゼロの条件を提示され、得したような気がした……のですが、後日契約書を見てびっくり。敷金ゼロでもまったくお得ではありませんでした。

そのからくりとは?

賃貸不動産は退去時のトラブルが多いため、国土交通省が標準契約約款を作成。また東京都が条例で東京ルールを定めたのは有名な話です。

何が論点かというと、退去時の原状回復。東京ルールにおいては基本的に経年劣化を大家負担と明記。入居者に非がある場合にその部分の原状回復を入居者負担とする、という至極まっとうな指針が定められています。

また最近は沖縄県ルールも策定され、沖縄県においても原状回復についての考え方がはっきりと示されました。

しかしですよ。

賃貸管理業者はそれを乗り越えるべく、よりセコイ方向へと進化を遂げていました。賃貸契約書において、ハウスクリーニングや畳の表替えは退去時に借主が負担すると明記するようになっていたのです。

こうなると東京ルールや沖縄ルールがどう規定していようとも、契約書の内容が優先されてしまいます。商売だしそんなもんかなと思う面もありますが、だまされないためにカラクリだけは確認しておきましょう。

お得でも何でもない敷金無料

おそらく最近の賃貸管理業者は入り口の敷居を低くして(借りやすくして)、出口でそのツケを払わせる(退去時にお金を取る)戦略なのだと思います。

敷金ゼロといわれるとお得な気がしますが、実際のところ敷金なんて単なる預かり金で本来は大家さんから返してもらうはずのお金です。

敷金がゼロでもお得ではありません。

逆に退去時。前述のように沖縄ルールを曲げてまで、入居者から原状回復費用を負担させようという意図がはっきりと……。これじゃーせっかくの国土交通省ガイドラインも骨抜きではないですか。うーん。いいのか!?

もっとも、知り合いに沖縄ルールを遵守する良心的な業者もいるので、できればそういう不動産屋から物件を借りてください。