長期固定低金利住宅ローン「フラット35」を不動産投資に悪用

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約1%ほどの固定低金利で最長35年間借りることができる住宅ローン「フラット35」を悪用し、不動産投資に不正利用している事例が確認されました。

ローンを提供している住宅金融支援機構も不正の可能性があるとして調査を開始しており、不正が発覚した場合は全額返済を求める方針です。

不正な融資の顧客は年収300万円以下の20代~30代前半の若者が中心で借金を抱える人も多く、「借金を帳消しにできる」「不動産も持てる」などと勧誘し、一人2千万~3千万円ほどの融資を引き出したとされています。現時点で確認できている利用者数は100人超で、総額は計数十億円規模になる模様です。

フラット35を悪用した不動産投資の仕組みは、「住む」と偽って融資を引き出し、実際は住まずに賃貸収入でローンを返すといったものです。こういった取引が行われるとき、不動産業者は住居用だと偽る上に物件価値を数百万円上回る申請をし、契約書と提出するケースも少なくないとみられています。上乗せした分の金額は、顧客の借金の肩代わりや利用客を探したブローカーへの紹介料などに充てたということです。

利用客は、不正の発覚を防ぐために、不動産業者の指示で本人の住居を示すために初めだけ物件に住民票を移した後にほどなくして元に戻したり、機構からの郵便物は転送させるなどをしていました。

フラット35の住宅ローンを提供する住宅金融支援機構は政府が7千億円超を全額出資する独立行政法人で、機構自らは直接融資せず、民間銀行などの取り次ぎ金融機関に融資実務を担ってもらい、その債権買い取りで資金を出しています。これまでにもローンを巡って融資金をだまし取るなどの不正が発覚しており、今回の不正を踏まえ、投資目的では使えないことなどをさらに強調し、審査体制を強化するとしています。