保安林の違法伐採が話題に

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沖縄タイムスが取り上げたのは、画面向かって右側の施設。確かに防風林が伐採されています

沖縄タイムス2019年7月27日付けの紙面に「保安林の違法伐採増 専門家『資源保全を』」と題した記事が掲載されていました。記事によると、県内の海岸近くで近年、保安林の違法伐採が相次いでいるとのことです。

保安林は明治時代に制定された旧森林法時代にその制度が創設され、昭和26年、37年に改正された現行森林法でさらにその制度が補強されてきました。制度としては、水源のかん養、災害の防備、生活環境の保全の場の提供等を目的としています。

その保安林を伐採する例は以前からありました。たとえば名護市某所で昭和の時代から営業していた民宿前の保安林はきれいに伐採され、庭園のようになっています。また、ビーチ沿いの民家前などで、目障りな保安林を伐採している事例は、いくつか目にしてきました。ところが、記事によると、沖縄観光が好調に推移する中で宿泊施設が急増し「保安林と分からずに伐採する事例が多い。」のだそうです。

本当に「保安林と分からずに」伐採しているかは疑問ですが、確かに宿泊施設であれば「目障りな保安林を伐採して、オーシャンビューを確保したい」と考えるのはありがちな事です。私たちが土地を仲介する中でも「この林を伐採していいですか?」という質問は多く、「保安林であれば下草の伐採も許可なく行うことはできない」とお答えすると、ほぼ確実にガッカリされます。

記事では、今年6月に地域住民が行政指導と原状回復を行う陳情を行った事例が紹介されています。どう考えても長浜ビーチぞいのあの宿泊施設だろうとバレバレの写真を使いつつ、このように記述しています。

宿泊施設に隣接する保安林だった場所を訪れると、芝生が張られ広場のようになっていた。客室からは広場越しに海が見え、施設ホームページでは「全室オーシャンビュー」をうたう。 所有者の男性は前所有者から3年前に施設を購入した際、元々保安林だったという話を聞いたという。「県などと調整し、(原状回復のため)できることはやろうと徐々に植林している」と説明した。

沖縄タイムスの記事はエビデンス不足なことが多いのですが、この記事も「伐採後、近くのビーチにウミガメが産卵に来なくなり、オカヤドカリの数も減った。」と、本当かどうかよくわからない近所の人の話を掲載。糾弾調で話を締めくくっています。確かにこの施設は、冒頭の写真のようにやりすぎている感がありますが、とにかく今後は本当に減ったかどうかわからないウミガメの産卵の責任まで負わされるくらい、責任追及されるものと覚悟した方がよさそうです。

ビーチサイドの土地を買う場合は、目の前に保安林がないものを探しましょう。

運天のビーチつき土地(保安林ありません)