県内路線価が大幅に上昇

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沖縄国税事務所の発表によると、令和元年の県内路線価は対前年比8.3%の上昇となるようです。これは東京の4.3%を押さえて全国第一位。今年1月に発表された地価公示と類似の結果となるため、過去1年の間に県内地価がどれほど上昇したのかを改めて感じさせられます。

路線価についておさらいしておくと、ざっくりいえば税務署のための土地評価。路線価には相続税路線価と固定資産税路線価のふたつがありますが、一般的に「路線価」という場合には、相続税路線価をさします。また、路線価は「街路に接する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格」とされており、街路ごとに路線価が決められています。

路線価は毎年、国家資格を持った不動産鑑定士などが国の委託を受けて算出しています。地価公示価格や鑑定評価価格等をもとにして標準宅地価格を求め、この価格を主要な街路の路線価として設定していきます。また、それ以外の街路の路線価も諸条件を比準して決めていきます。県内では3158地点の標準宅地について、対前年変動率を計算し、今年の路線価を求めたそうです。

ここで気になるローカルな話題がひとつ。
昨年まで沖縄本島北部(名護署管内)で、路線価が最も高いのは「名護市字為又名護バイパス」でしたが、今年は「恩納村字前兼久国道58号」に取って代わられたこと。路線価の最高地点が名護から恩納村へシフトしています。確かに最近の恩納村の土地価格は過熱気味だったので、わかる気はするのですが、膨らみすぎた風船がしぼむような現象が起こるのか、起こらないのか? 恩納村は要注意のような気がします。

それ以外の県内最高路線価は平年通りで、那覇市は久茂地3丁目のみずほ銀行前、石垣市は字大川の市役所通り、北那覇はおもろまち4丁目(那覇中央環状線)、沖縄は北谷町美浜となっています。

メディアの反応を見ると、今後とも県内路線価は上昇するか、悪くても横ばい……という予測が主流のように思えます。理由としてはインバウンド需要を背景としたホテル増等による、土地需要が続くことなど。確かにインバウンド需要は今後もある程度不動産価格を牽引する可能性が高そうです。

一方で実需(実際に住宅として住むような需要)については限界があるように思えます。那覇市内の分譲住宅は土地が30坪前後でも販売価格が4500万円以上。マンションも4000万円台が普通になっています。すでに一般県民が買えないレベルになっているので、これが続くとマイホーム購入に対するマインドそのものが落ち込んでいくことになりそう。そこに加えて消費増税が消費マインドを削ぐ事態になった時、実需向けの不動産販売が大幅に下降しないか心配です。