4月30日付のjiji.com(時事通信社)で次のようなニュースが報じられました。
銀行が賃貸住宅の建設資金を個人に貸し出す「アパートローン」が膨張を続けている。日銀によると、2016年の融資額は前年比21.1%増の3兆7860億円に達し、比較可能な10年以降で最大。しかし、過剰な貸家建設で空室が増え、ローンを返済できなくなる大家が続出することも懸念されており、日銀は警戒を強めている。
アパートローンの融資額がここ5年で約1.7倍に膨張したことを取り上げ、審査を厳しくするべきではないかと日銀が考えている、と報じられています。
実はこの問題、しばらく前から話題になっていました。たとえば、3月26日付の日本経済新聞では次のように報じられています。
金融機関による2016年の不動産向け融資が12兆円超と過去最高を記録した。背景の一つが相続対策のアパート建設だ。人口減社会には似つかわしくないミニバブル。まだ局所的とはいえ体力の弱い地域金融機関が主役だけに金融庁や金融界からも不安の声が上がる。米リーマン危機を引き起こしたサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の「日本版にもなりかねない」(大手銀行首脳)。
近鉄名古屋線、津駅から車で10分ほど。海岸に近い中河原地区を中心にアパートが急に増え始めたのは6年ほど前だ。すぐ数軒が目についた。「入居者募集中」。1km2ほどの地区に数十軒以上が密集するアパート銀座だ。表札付きの部屋は一部で駐車場の車もまばら。徒歩圏内に駅もないこの地になぜなのか。
「ブームだからと不動産業者があちこちに営業をかけた」。市内の男性(70)は憤る。自身も約10年前、業者の勧めで銀行から約2億円を借りて畑にアパートを建てた。近隣工場に勤務する人が入居したが、土地の安さに目を付けた業者が営業を強化しアパートが急増。入居者の争奪が起き「今はどこも空室だらけ。誰が責任を取るのか」。日銀によると16年の全国の不動産融資は前年から15%増の12兆2806億円で統計のある1977年以降で最高。バブル期も上回った。アパートローンも同21%増の3兆7860億円と09年の統計開始以来、最高に達した。貸家の新設着工件数も41万8543件と8年ぶり高水準だ。
理由の一つは、15年の税制改正で相続税の課税対象が広がったことだ。アパートを建てると畑や更地などより課税時の評価額が下がるため地主らが相続税対策で一斉に建築に走った。マイナス金利で貸出先を模索する金融機関も融資に動き、東京都の郊外などにとどまらず東北や山陰といった地方部にも異様なアパートラッシュが広がった。
実際沖縄でも投資物件の人気は過熱気味です。状況としては「売るには適しているが、買う立場では高い買い物になる場合が多い」という状況でしょう。それでも銀行融資は通っているようですので、私たちもそれを念頭に、物件購入を検討したほうがよさそうです。