全国の都道府県別不動産鑑定士協会のうち、約半数が発表している都道府県内の地価景況DI。沖縄県はこれまで大幅プラスが続いてきましたが、今月発表されたレポートでは、かなり減速している様子がうかがえます。
不動産市場DIとは、一定期間で地価が上昇したと答えた不動産関連企業の割合から、下落したと答えた割合を引いたもの。いわゆる不動産屋(宅建業者)や賃貸管理会社、不動産関連企業へのアンケートを集計したものです。これはつまり、不動産関連業者が扱った物件の動きをもとにまとめた数字で、業者の肌感覚的なところも含まれると考えられます。つまり、業界の感覚として「不動産の価格上昇がどう推移したか」を読み取ることができる数字として活用するとよいと思います。
今回の調査は5月から11月の地価について。ざっくりいうと、2019年の前半に比べて後半の地価景況DIが低下しているということになります。まだマイナスではありませんが、上昇基調から鈍化に転じているところ。持ち直す可能性がないわけではありませんが、こういった数字が発表されることによって下落に拍車がかかる可能性の方が高そうです。
不動産の種類ごとの分析も行われています。新築マンションが苦戦している、というのは宅建業者間の共通認識ですが、データ上も新築マンションは「(前年比の売れ行きが)悪くなっている」が64.3%となっており、苦戦している状況がうかがえます。中古マンションに関しては「変わらない」が46%と最多ですが、「悪い」が39.9%あり拮抗する状態。これは私見ですが、拮抗する理由は、那覇市中心部では成績がよく、郊外では苦戦が目立つからではないかと考えています。
ただし不動産鑑定士協会は、現時点では、価格は(一応)上昇していると考えているようです。上昇しているなかで、今後の見通しが不透明になったということでしょうか。