「古宇利島の土地について相談したい」とのお電話をいただきました。
相続案件のようで、他社さんに電話をしたところ「坪単価8〜10万円」といわれたそうです。しかし古宇利島の事情は複雑なので、当社では簡単に断言することを避け、すこし詳しくお話を聞いてみることにしました。すると全部で8筆あることがわかり、なんとなくの場所も推定できました。
この時点でいえることは「今帰仁村役場で調査した上でないと、価格について断定的なことはいえない」という事情です。
そこで、ひとまず物件調査をスタートしました。調査にはおおよそ半日を要し、登記簿取得、今帰仁村役場調査、現地調査を行いました。相続案件のため「場所がわからない」というお話でしたので、役場で場所を確定し、それから現地に向かうという流れになりました。
結果、8筆中4筆が農振農用地。理屈の上では農地の価格を査定額とするわけですが、農振農用地の大半が無道路地(袋地)だったため、この部分の査定額は非常に厳しい状況に。
農振農用地というのは、農林水産省が農地として指定している区域内の土地です。農林水産省のサイトでは「 農用地区域内の農地の転用については、農用地利用計画において指定された用途に供する場合以外認められない。なお、農用地利用計画の変更(農用地区域からの当該農地の除外)が必要と認められる場合は、農用地利用計画の変更をした上で農地法による転用許可を得る必要がある。 」と記載されています。農地以外に使えないという成約があるため、評価は低くなります。「しかも無道路地」ということになると、売却はきわめて困難といえます。
つぎに、宅地見込地として評価した土地が3筆。これらについては、農振外でなおかつ水道がちょっと遠い(引けないとはいえない)ので、宅地と農地の間くらいの価格と考えました(実際には国交省の宅地見込地のデータから査定)。
最後に問題なく建築でき、なおかつインフラも整っていると確認できた土地を宅地として評価し、本日の作業が完了。
坪単価でいうとゼロ円に近いところから、15万円に近いところまで幅広く存在しています。古宇利島内の土地は、場合によってはさらに高い価格で取り引きされており、坪単価20万円以上もあり得ます。
古宇利島に限らず、弊社が商圏としている沖縄本島北部エリアについては、このような調査を行わないと、価格を出せない場合が大半です。
今回から数回にわたって、物件調査日記を連載し、そのあたりの事情をご説明したいと思います。