お客様応対をしていて「あぁ、この人は不動産屋にカモにされやすい体質の人だなぁ」と感じることがあります。最大の特徴はズバリ「不動産取引を理解しないまま、不動産を売り買いしようとする」という点。
本ブログを読んでいるあなたはその時点でカモられ体質ではなさそうですが、そうではあっても、こういった事例を他山の石とすることに意味があると思うのです。
売却査定と買取査定の意味がわかっていない人
1月ごろ価格査定の依頼があり、査定書をお送りしたお客様から、その年の12月に「買い取ってほしい」との電話がありました。
1月の時点ですでに借金があり、1年弱が経過して完全に焦げ付いているようです。
当初お出しした査定額は620万円。建物が古く土地のみの評価ですが、ここ沖縄では古民家需要が強く、若干の上積みが期待できるとコメントをつけたのを覚えています。これは売却査定額=仲介で売却するときに、エンドユーザーに売れるであろう価格です。
ところが……
年末にかかってきた電話の内容は「620万円で買い取ってください」というものでした。普通に考えればそれは不可能です。エンドユーザーが620万円で買う物件を、不動産屋が620万円で買い取って、何をどう商売するというのでしょうか?
これがわかっていない時点で、この方はカモられ体質といえます。もし買取を依頼したいのなら、我々のような仲介業者ではなく、買取業者に買取査定を出させるべきだったのです。そうすれば、620万円ではなく、300万円か400万円くらいの買取査定額を提示されたでしょう。業者買取の場合は相場の半額程度になるのが一般的です。
では、どうすべきだったのか?
そもそも、借金を焦げ付かせる時点でアウトだろうと思うのですが、12月の時点でも打つ手はあります。電話でその内容を必死に説明しました。
まず、不動産担保融資を受けるのです。高金利ですし、通常はおすすめできませんが、こんな場合に限ってはメリットがあります。とりあえず借金を一本化して、時間を作る! というメリットです。300万円か400万円借り入れれば、当面のピンチを切り抜けられるでしょう。
そうやって3カ月から半年ほど時間を作ってもらえれば……
当社であれば古民家の存在をアピールした広告を強く打ち出し、相場以上での売却ができただろうと考えています。多少高金利であっても、半年分の金利なんてたかが知れているはずです。
でも、カモられ体質の人は……
しかしながら、件のお客様は飛び込みで入った不動産屋に安く売却したそうです。そういうのは買い叩かれるに決まっているから、やめた方がよいのですが……。
この事例から教訓を得るとしたら、やはり「不動産取引の仕組みを理解しよう」ということに尽きるでしょう。このお客様は最後の最後まで事情を理解せず「あの不動産屋は620万円と値付けしたのに、結局それでは買ってくれなかった」と、当社を恨んでおられるかもしれません。こういうのでGoogleのレビューに星1個とかつけられている同業者もいるはずで、酷評レビューを見るたびに気の毒になる今日この頃です。
このお客様が損した金額は?
ざっくりですが、計算してみましょう。
当社の提案を理解していただけていれば、半年後に800万円くらい手にしたはずです。ところが飛び込みで不動産屋に売ってしまったので、買取額は400万円くらいでしょう。
その差額400万円。これ、けっこう大損だと思うのです。
これは基本的な事項を理解していただけなかった残念事例ですが、細かい情報であっても、知っているかどうかで売却額に差が出る可能性は多々あります。
というわけで不動産売買について、不明点があればぜひお尋ねください。直接お答えできない場合もありますが、本サイトで順次記事にしていきます。どんな内容でも、お問い合わせフォームからメールをいただければOK。匿名で全然オーケーです!