住宅宿泊事業法が施行されてから今年6月で1年になります。さて、住宅宿泊事業とは何か? 当該法律の条文から見てみましょう。
この法律において「住宅宿泊事業」とは、旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が1年間で180日を超えないものをいう。
つまり、旅館業の許可を得ないで、宿泊料を受け取ってお客さんを宿泊させる事業のこと。日数の制限は最大でも年間180日ということになります。
AirBnBなどが先行して普及し始め、その状況を受けて立法されたため、法施行当時にはかなり混乱があったと記憶しています。たとえば弊社(沖縄かりゆし不動産)も、住宅宿泊事業の管理業の登録申請を行い受理されていますが、いまだに行政からの応答がありません。行政は90日以内に応答しないといけないはずなのですが、そろそろ1年を超えています。届け出時には登録免許税9万円も納めているのですが、国土交通省はどう考えているのでしょうか?
そのような状況のためか、沖縄県内の民泊施設数は949件にとどまっています。宿泊関連の事業を行うには、非常に使い勝手の悪い制度となっているため、ほとんどの事業者が旅館業法の簡易宿所を選ぶという背景もあるでしょう(都市計画法上の用途地域によっては選べない場合もありますが)。施設数は東京、大阪、北海道に次いで全国4位とのことですが、当初考えられていたよりも少なく、繁忙期の客室不足を解消する切り札には、おそらくなっていないと思われます。
最近では狭義の民泊(住宅宿泊事業法による民泊)よりも、旅館業の簡易宿所を含む広義の「民泊」のほうが完全に市民権を得ており、民泊施設といえば旅館業の許可を得た簡易宿所のことを指す場合の方が多いくらいです。弊社でもお客様には旅館業の許可をお勧めしており、住宅宿泊事業法に基づいて営業することはおすすめしていません。