『正直不動産 1』

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『クロサギ』を手掛けた夏原武が原案を担当する不動産マンガ……と聞いて手に取ってみましたが、オススメです。不動産売却など、不動産取引が初めての人は読んでみて損のない一冊。

嘘をも辞さぬ猛烈な営業で、成績トップを誇る不動産営業マン長瀬財地。ひょんなことから彼は嘘をつけなくなる……。そんな設定で、長瀬はお客さんに対して不動産業界の裏側をバラし続けてしまいます。
嘘がつけない営業マンが、不動産営業を続けていけるのか? そんなスリリングなテーマを軸に、癖のあるサブキャラがストーリーを彩っていきます。

セリフが長く、どちらかというと文字が多いのですが、そこが読みどころなので面倒がらずに読んでみてください。とくに注目は主人公長瀬のセリフ。たとえば仲介(媒介)契約の累計について説明するくだりは必読です。媒介契約には「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3類型があり、通常不動産屋に足を運ぶと、だいたい「専属専任媒介契約がおすすめです」と言われるはずです。ひどい場合は何の説明もなく、専属専任媒介契約書に署名捺印させられるでしょう。ところが長瀬は「お客様のケースでは一般媒介契約がベストな選択肢」と言ってしまいます(注1)。口が勝手に本音をしゃべってしまう、というわけです。

こういう不動産業界の基本的な(基本的なんですがお客様には知られていない)知識が吸収できるという意味で、なかなかの良書です。マンガを読むだけで不動産リテラシーがあがる、というお得な一冊。今後不動産売買を予定している人は、読んで損はないと思います。

第一巻では、詐欺的なサブリース契約にまつわる問題、媒介契約の累計、抱え込み行為の問題などを学べます。第二巻(まだ届いていないですが)では、三為業者などが描かれているとか。三為業者は沖縄にもいますから、ぜひ読んでみたいと思っています。

注1……これは本稿を書いている私も時々言うセリフです。専属専任媒介は選ぶ意味がよくわからないので、自分だったらまず選びません。専任媒介か一般媒介かは、ケースバイケース。横浜の自己所有マンションを売却した時は、地元業者に専任媒介で任せました。現在福岡にある自社所有マンションを売却しようとしていますが、それは地元業者に一般媒介で任せる予定です。なぜそうしたのか? という詳しい理由は、聞いていただければいつでもご説明します。お気軽にお問い合わせください。

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