専任と一般媒介を使い分ける

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仲介のことを法律(宅地建物取引業法)の用語で、媒介といいます。そしてこの媒介契約には3つの類型があるのです。

己を知り、敵を知れば百戦危うからずといいますが、案外この媒介契約を知らずして媒介契約を締結している方が多いようにお見受けします。ちょっと危ういので、整理しておきましょう。

媒介契約の3類型とは、専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3つです。このうちお客様にとって専属専任媒介のメリットがどれくらいあるのか謎なので(不動産屋にとってのメリットはたくさんありますが)、残りのふたつにしぼって解説していきましょう。

専任媒介……1つの仲介会社のみに依頼。そのかわり仲介業者は2週間に1度の報告義務あり。
一般媒介……複数社に仲介を依頼できる。報告義務なし。

迷ったら一般媒介

ほとんどの不動産屋は細かい説明をせずに、しれーっと専任媒介(あるいは専属専任媒介)をすすめてくる傾向があります。

しかし、上図でわかる通り、通常は一般媒介でよいと思われます。とくに、相場の範囲内で人気のある不動産を売却する場合、各不動産業者は「よし、良物件だからぜひウチで決めるぞ!」と競ってがんばってくれるでしょう。
なので、まずは一般媒介を検討しましょう。

難物件は専任媒介で

ところが、売却に当たり何か問題のある物件だったらどうなるでしょうか?

たとえば、「隣の建物の一部が越境してきており、さらに誰かの配水管が対象土地を経由して側溝に接続しており、登記簿の権利部甲区に差押登記が入っていて、乙区を見ると怪しげな個人名の抵当権が付着しており、しかも前面道路が那覇市道なのに幅員4mを切っている」物件を、一般媒介で売り出したら?

各不動産業者のモチベーションは、劇的に低下するでしょう。
だって、すごい労力をかけて問題を解決しても、一般媒介だからほかの業者が成約させてしまう可能性が高いわけです。そうなると、仲介手数料をもらえず、骨折り損の結果となります。

なので、もし上記の物件が当社にまわってきたとしても、積極的に問題解決を図ることができません。「現状問題がいろいろあるけど(そしてウチで積極的に解決する予定はないけど)、それでもよろしければ購入してみます?」という、中途半端な営業になるでしょう。

そこで、問題がある物件は専任媒介にしてください。そうすれば、媒介を任された業者はあなたの不動産の問題を解決してくれるはずです。

また、相場より高く売りたいという場合も専任媒介が適しています。高く売る=広告をがんばって出し続ける、ということですから、不動産屋のモチベーションを高めておく必要があるのです。

このあたりの事情をおさえて、媒介契約をうまく活用してください。