このところ「仲介手数料無料」をうたう業者がちらほら現れてきました。しかし、商売ですからウラがあります。
まずは下の表を頭に入れてから、解説を読んでみてください。
売買の売主「手数料無料」 | 危険。やめたほうがよい |
売買の買主「手数料無料」 | それほど問題なし。場合によっておすすめ |
賃貸の「手数料無料」 | ほぼ問題なし。物件がよければおすすめ |
あなたが売主の場合は、危険です
これは普通に考えればわかりますが、かなり危険です。なぜならあなたは「お金を払わない=お客様ではない」からです。
下の図を見てみましょう。
このように、お金を払うのは不動産の買主(購入者)のみ。間に入った仲介業者としては、どちらを大事にするでしょうか?
お金を払ってくれる買主ですよね。お金を払わないあなたは、ただの商品ということになります。しかも原価ゼロ円の商品ですから、たたき売りをしても仲介業者の腹は痛みません。
不動産売買という非常に高額な取引を、買主有利にリードされる……考えただけでも危険です。
100万円の仲介手数料をケチったために、200万円損をする取引をしていたら?
本末転倒です。私は不動産業者ですが、自己所有の不動産を売却するときは、仲介してくれる業者にキチッと仲介手数料を支払い、その代わりに確実でフェアな営業をしてもらっています。
ただより高いものはない。
昔の人もそう言っています。売主の立場でゼロ円業者に大事な物件を預けるのは避けた方がよいでしょう。
あなたが買主の場合は、そんなに問題なし
これも原理を考えるとわかります。
「買主から仲介手数料をもらわない」というケースでは、売主から仲介料が出ていることになります。この場合の売主はハウスメーカー(建売業者)であることがほとんどです。ということは?
そうです。売主の広告予算で、買い手であるあなたの仲介手数料が無料になっているわけです。考えてみれば、もともとあなたがハウスメーカーに支払うお金(利益)から、一部が還元されている……という構図です。
この場合でもあなたは仲介業者にはお金を払わない(=お客ではない?)のですが、ハウスメーカーにはお金を払う、立派なお客です。建物の保証はハウスメーカーが行います。
したがって、あまり心配しなくてもよいといえます。
賃貸住宅の手数料無料は問題なし
これは全然問題なしです。もしその物件があなたの希望に合うなら、どしどし利用しましょう。
賃貸物件の仲介手数料が無料になるのは、その分を大家さんが負担しているからです。なぜ大家さんが負担するのかというと、長い間空室が続く物件だったり、ちょっと古くて不人気な物件だからです。
でもあなたにとって、条件のあう物件かもしれません。条件が合わないのに、無理をしてまで借りるのはおすすめしませんが、条件が合うならおすすめです。
特に引っ越しが少ないシーズン(賃貸の閑散期)には、仲介手数料無料とか半額のキャンペーンをよく目にします。需要と供給のバランスによる現象ですので、借り手にとってほぼ問題のないキャンペーンだといえます。
まとめ
ここまで見てきたように、売買の売主の立場で仲介手数料無料という状況のみ、あなたはお客ではなく商品ということになります。仲介料ゼロ円業者に大切な財産を任せる前に、その点を一度考えてみてください。