査定額と買取り価格の違い

Posted by

今朝がたのお話です。
価格査定書をお出ししたお客様から電話をいただきました。開口一番、「この値段で買い取ってもらえるんですか?」とのご質問。

-shared-img-thumb-OOK151013320I9A0106_TP_V

通常仲介業者がお出しする、いわゆる「価格査定書」は「買取価格」とは異なる……という事は当サイトの読者の方ならおわかりですよね。「価格査定書」は、私たちが仲介で市場に売り出した場合に一定期間で売却できるであろうという相場の数字です。少し乱暴にいえば、市場価格であり、わたしたちが仕入れるときの価格ではありません。

そこで、「いいえ、この値段ではムリなんです」とお答えしました。

a0002_011955

こういうやりとりは、頻繁に経験します。そしてそのたびに、「価格査定」と「買取査定」の違いを説明することの難しさを感じます。
私たちは通常、不動産仲介業者として、売主様の土地や建物を預り、買いたい方を探して売却します。これなら市場価格(査定額に近い価格)で売却できますから、時間さえいただければ不動産の価値通りの価格で売却できる、ということになります。

不動産業者による買取とは?

一方、買取であれば私たちがいったん仕入れないければいけません。当然そこに利益を乗せて売却しますし、保有期間に応じて銀行さんに利息を払いますし、また不動産取得税や固定資産税、所有権移転費用を負担します。おまけに、私たちが買い取って再販するときには、少なくとも2年の瑕疵担保責任を負います。これはかなり大きな負担です。そのため、査定額より大幅に安くないと買い取れません。

一番難しいのは、必ず聞かれる「では、いくらなら買いとれるんですか?」という質問への返答です。
査定物件が土地か戸建か、規模は大きいか小さいか……などにより、返答は大きく変わってきます。たとえば、那覇市内のちょうどいい大きさの戸建住宅であれば市場価格の7割くらいで買いとれるかも知れません。

ものすごく条件がよかったら、査定額の7割くらいで買いとれる可能性あり、と考えておくとよさそうです。

逆に売れない場所の広すぎる土地などは、そもそも買取不可能な場合もあります。銀行に事業計画書を持って行って、「この土地を買い取るので融資お願いします!」といった場合に、「ムリです!」という返答が来るような場所であれば……残念ながら買取できません。

どうしても早く売りたい場合の裏ワザは?

早く現金化したいけど、不動産業者の買取だと安くなる……とお悩みの方に、時々お勧めする裏ワザがあります。「土地」限定ですが、トライしてみる価値がある売却活動です。

-shared-img-thumb-PAK86_cyottomimikashite20140321_TP_V

それは何かというと、ハウスメーカーによる買取。建売住宅を作るハウスメーカーさんは、建物から利益を出しますから、土地からの利益をそれほど重視していません。そこで、場所さえよければ、市場価格そのままか、ちょい安レベルでの買取の可能性が浮上します。

実際、当社でも、いくつかのハウスメーカーさんに土地の買取仲介をさせてもらっています。まず最初にお話を持って行くのが内地のパワービルダー系の業者さんで、こういった会社はかなり好条件で買い取ってくれることも……。次に、県内の建売業者さんにお話をしてみます。ちょっと条件が厳しくなる事が多いですが、それでもまずまずの価格で買い取ってもらえます。

ただし、ハウスメーカーさんが買い取るのは「建売住宅を建てて売れる立地」に限られます。
やんばるの土地とか、南城市のシーサイドの土地などは、どんなに環境に恵まれていても難しいでしょう。逆に、ちょっとゴミゴミした場所でも、那覇近郊などであれば可能性が出てきます。

で、今朝のお電話の物件ですが……。

やんばるの広大な土地なのです。
たいへんすばらしい環境ですが、ハウスメーカーさんによる買取は難しそうですので、じっくり仲介で売却活動を続けることをご提案しました。その代わり、200万円ぶんくらいに小さく区切って、買い求めやすい大きさで売り出すと、セカンドハウスを求める方に買ってもらいやすくなります。

切り売りするため少しずつにはなりますが、早めに現金が手に入りますからこの方法も悪くないですよ、とご説明しました。