なぜ県内業者は査定ソフトを使わないのか?
宅建業(不動産業)をはじめたばかりの頃、いろいろな備品を沖縄県不動産会館で買い揃えました。ここは、私たちが所属する沖縄県宅建協会の購買部的な機能ももっています。
「査定ソフトも買っていきたいんですが」
というと、「査定ソフトは置いていないんです」との返答。その理由を尋ねると、「全国で使われている査定ソフトは木造住宅しか査定できないので、鉄筋コンクリート主体の沖縄では使えないからなんです」との説明が返ってきました。
その後、発売元の公益財団法人不動産流通推進センターから通販で購入してみましたが、確かに木造または軽量鉄骨造の住宅しか査定できませんでした。
県内業者はどのように建物を査定しているか?
その当時、不動産会館の職員の方に尋ねると、A3サイズの一枚の用紙を渡されました。
「みなさん、これで計算しています」
見ると、建物の築年数や規模、その他の要素を手で書き込み、紙の上で計算しているようです。さっそくその用紙をもらって帰り、これで計算することにしました。
現在の沖縄かりゆし不動産では、この用紙の内容をエクセルのワークシートに落とし込み、さらに自動で減価償却や築年による耐震性の判断を行うように改良しています。その他の要素も評価し、標準施工単価も毎年アップデートしていますので、机上査定であってもある程度正確に価格を出せると考えています。
査定額と実勢価格は必ずしも一致しません
しかしながら、沖縄の市場は独特の傾向があります。
「鉄筋コンクリートの建物は壊れない」
という感覚が広く浸透しており、建物が古くなっても値段が下がりません。価格査定では300万円だけど、市場の感覚としては600万円……なんていうことは往々にして見受けられます。
そこで、査定額を参考に、戸建て住宅の取り扱い経験が豊富な営業担当者とじっくり話し合い「実際にはいくらで販売できるか」を検討していく必要があります。
こういう特殊な事情も、県内で価格査定ソフトが利用されない原因のようです。
※土地の査定に関しては全国版の査定ソフトが利用できるため、沖縄かりゆし不動産ではPCを利用して査定しています。