自宅の価格を知りたいだけの場合

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「ちょっと自宅の現在の相場を知りたいなぁ」という時、一括査定サイトを利用することもあるかと思います。しかし、それには副作用もあります。

一括査定サイトに個人情報を含めた不動産情報を入力すると、最大6社(くらいの場合が多い)から査定書が届く……という仕組みですが、その裏側にあるお金の流れを考えてみましょう。

一括査定サイトは、この6社の不動産業者から情報料を徴収します。1件15000円くらいの場合が多いので、一括査定サイトは「あなたの個人情報を送信することで、だいたい9万円ほどのお金を稼いでいる」ということになります。

つまり、一括査定サイトを利用するにあたっては「自分の個人情報が9万円くらいで売られているんだな」という事情を意識しておくとよいでしょう。お金を払っている各不動産業者の営業は熾烈を極めます。商売である以上、払ったお金の元をとらなければいけません。

その結果、面倒な電話営業や、場合によってはアポ無し訪問などにわずらわされることになります。「ちょっと自宅の価値を知りたいだけだったのに、どうしてこんな面倒なことに巻き込まれるの……」と思う方も多いと思いますが、一括査定サイトの仕組みを考えればそれは仕方のないことといえるでしょう。

めんどうを避けるためには?

めんどうを避けるため、また自分で不動産価値を把握できるようになるためにも、ご自分で簡単な価格査定を行ってみることをおすすめします。かなり大雑把ですが「ちょっと自宅の価値を知りたい」的な目的であれば十分でしょう。

①土地の値段を把握
②建物の価値を把握
③上記を合算

以上の手順でおおよその価値は把握できます。

土地価格を推定

まずは登記簿を用意し、正確な面積を確認します。登記簿が手元にない場合は、以下のサイトから取得できます(一時利用でOK)。

登記情報提供サービス
(http://www1.touki.or.jp/gateway.html)

次に、自宅近郊の土地の平米単価を確認します。

国土交通省の「国土交通省地価公示・都道府県地価調査 – 土地総合情報システム」を利用して、近くの基準値を見つけ、その価格から類推することが可能です。

国土交通省地価公示・都道府県地価調査 – 土地総合情報システム
(http://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=1&TYP=0)

本来であればもっといろんなことをするのですが「自宅敷地の平米単価は基準値の平米単価とだいたい同じ」と考えてしまっても、大はずししない場合も多いです(条件によってはかなり外しますが……)。複数の基準値が周辺にある場合は、その中から最も条件が近そうな場所の価格を採用しましょう。

登記簿上の面積 × 基準値の平米単価 = あなたの土地のだいたいの値段

これで土地価格が(だいたい)わかります。誤差はまぁ、どう考えてもあるわけですが、それでも「だいたいの価格相場観」を身につけておけば、今後不動産屋と相談するときにも指針になります。

建物の価格を推定

建物の登記簿を用意して、正確な床面積を確認します。登記簿がない場合は登記情報提供サービスのサイトから取得しましょう。

次に、下のサイトなどを利用して、都道府県別の建築単価を確認します。

不動産実務TIPS「建築着工統計調査(H27年)にみる県別建築単価指数。その他色々ランキングを調べてみました。」
(https://reatips.info/h27-kenchikutanka-ranking-pref/)

登記簿上の面積 × 標準施工単価 = 今新築したらかかる建築費

上記を求めたら、以下のサイトを開きます。

高度計算サイト「減価償却(H24年度~)」
(https://keisan.casio.jp/exec/system/1339479951)

とりあえず木造の普通のおうちであれば、①取得価格に上記で求めた「今建築したらかかる建築費」を入力し、②償却方式を「定額法」にして、③耐用年数を「22年」にして、計算ボタンをクリック。

期首帳簿価格ないしは期末帳簿価格を参照します。だいたいそのあたりが、今の建物の価格です。

※ちなみに沖縄県(北部)であれば、上記で得た中古住宅の価格に1.49を乗じてください。他の都道府県に関してはよくわからないのですが、三大都市圏以外では何も乗じなくてOKではないかと思います(ここらへんは地元業者に聞いていただければ……)。

最終的に、土地価格と建物の価格を合計すると、おおよその自宅の価値がわかります。以上、大雑把ですが不動産業者の価格査定もこれに細かい条件を反映させているだけです。「まー、こんなもんかな?」という数字は十分把握できると思います。

ご自宅がRC造だったりする場合については、また改めて。

マンションの場合は同じマンション内で中古で販売された事例を見つければ、それに近い数字になるかと思います。