不動産売却時の費用①測量費用

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今帰仁村内の大規模な別荘を売り出すにあたり、売主様と境界標を探していた時のことです。手元の図面を参照しながら、4~5年前に土地家屋調査士さんが打ってくれた境界標を確認していったのですが、何か違和感が……。
「どうも、この杭(境界標)が図面と微妙に違うような気がしませんか?」
そう尋ねると、売主様も、
「うーん、前に見た時と1mくらいずれてる気がするなぁ」
そう言って頭をひねっていました。そこで、隣家を尋ねてみることに。そこで聞いた答が衝撃的でした。
「あーこれね。この杭、農作業の邪魔だったからずらしておいたんだ」
売主様と顔を見合わせて、内心「人がお金をかけて測量した境界標を、簡単に抜いたらダメだろう!」と突っ込みを入れました。
しかし、現実にこういうことはよくあります。
人が動かさなくても、ビーチ沿いの別荘地では台風時の波や風で亡失したり、かなり大幅に移動してしまったりする例もあります。
この境界標、売却の時にはだれが責任を持つのでしょうか?

売主の境界明示義務

通常私たち不動産業者が使用する売買契約書は、国土交通省の標準契約約款に準拠しています。これはよくできたフォーマットで、売主・買主いずれに対しても、取引の危険が少なくなおかつ法律を遵守して契約を締結できるように配慮されています。そしてこの契約書には、はっきりと「売主には境界を明示する義務がある」と書かれています。当たり前といえば当たり前ですが、買主の立場としては、自分がどこからどこまでの範囲の土地を買おうとしているか分からなければ、契約を締結すべきかどうかの判断も難しいでしょう。
そこで、一般的に、不動産業者は売主様に測量を行うように依頼します。問題はこの測量費用が意外と高額なことで、ごく普通の面積の宅地であっても、場合によっては40万円から50万円くらいになる場合もあります(確定測量の場合)。隣地所有者の立ち合いを省略した簡易な測量(現況測量)であっても、かなりの費用が必要となります。
契約の直前にこんな話をされた売主様は「聞いてないよ! だったらもう少し高い値段で契約すればよかった」と思うでしょう。
そういったことがないように、私たちは売り出しの早い段階で「どういった費用が必要なのか」をご説明するようにしています。むしろ、売り出しをすべきかどうかの事前の判断材料としても、こういった情報が必要といえるでしょう。ご不明な点があるようでしたら、質問だけでも結構ですので、お気軽にお問合せください。